UCHIDA SYSTEMS FAIR2017 in OSAKA セミナー参加報告
2017/10/05
(日時)2017年10月4日開催
(場所)OMM ビル2階 Aホール
午前中のセミナーに参加しました。
講師は旧知の社会福祉法人あかね・経営統括本部の松本優賀さんでした。
テーマは
「独自の人材育成システム「マイスター制度」やイベント活動
その裏側にある地道な自己啓発研修の全容」
↑(講師の松本優賀さんと)
社会福祉法人あかねの
2年に1施設を開設する頻度で事業展開をしてきました。
初代理事長の父によるトップダウンに従い、2人の娘が適切な法人運営と施設運営を行っています。今は理事長は長女へ引き継がれ、次女の優賀さんがそれをサポートしています。
人事規模は総職員数850名、うち285名のみが正職員数(33.5%)です。
その中で独自に開発してきた人材育成・モチベーションアップへの取組みはとてもユニークであり、分かりやすいシステムです。
ケアマイスター制度
介護技術認定制度「ケアマイスター」はスタッフのリーダーシップ、管理能力向上を目標に作られ運用されています。
ケアマイスターのグレードは0〜5段階(6段階)で構成されています。
最高位の「マイスター」はケアマネージャー以上の有資格者であり、試験の合格率6.3%と狭き門となっています。
「プラチナ」は介護福祉士以上、「ゴールド」は他施設で3ヶ月以上の実務経験者、さらに「シルバー」、「ブロンズ」「無資格者」という階層があります。
パートスタッフにも応用され、報酬として時間給が100円から10円がアップされます。
「ゴールド」以上から職員証書も紙仕様からカード形式となり、モチベーション向上へ一役買っています。
このシステムの普及のために、一般社団法人日本マイスター協会を設立し7社が加入し、現在は2社が検討中だそうです。
サービスマイスター制度
マイスター制度導入から5年目に入り、今では「サービスマイスター制度」も作りました。
これはホスピタリティの向上を目的として「技術力」に合わせて「人間力」を教育し評価するものです。
これは5段階で構成され、最高位の「ファイブスター」は「社外でも接遇指導ができる」という基準が設けられています。
この取得によって報酬は月額5,000円〜10,000円アップされます。
管理職や介護職員以外でもチャレンジができます。
人材育成とモチベーションを見極めるために、働き手を4タイプに分類しその分析を行って運営面へ反映しています。
Aランクは約2割、ほっといても自らできる人、
Bランクは認められたい、褒められたいと思っている人
Cランクは与えられた仕事はきっちりやる人
このBとCランクは約6割いるそうです。
Dランクは約2割、淡々と仕事をこなすが、余分な仕事をストレスに感じる人
ボトムクラスは「諦めが早い」傾向にあります。
SEE 研修プロジェクト
また、「SEE 研修プロジェクト」をスタートしました。
法人内の複数施設の同一レベルの研修です。
探求項目は3つとし、今までの経験からその順序を重要視しています。
〔1.本音の吐き出し〕
何でも言える、他のメンバーと話しながら掘り下げる
言わなかったこと、言えなかったこと、言ってはいけないこと
これらを、ひたすら笑顔で聴くこと。
〔2. 自分が源泉の理解と訓練〕
「源泉」とは、ものごとの始まりのことです。全ての結果は全て自分が作り出した結果ということを認識し
自分が作り出したことは、自分で変えることができる、という考え方に基づいています。
どのようにしたら_____になるだろうか
〔3.会社理念の理解と課題の解決〕
6ヶ月後に作り出す結果、そのビジョンと現状のギャップを見出し解決していきます。個人の目標から法人の目標を一致させ、「ビジョナリーカンパニー」を作り上げていきます。
「andの能力」向上のために、5人によるミーティング、さらに20人程度のセッションを行い、「共感」を醸成していきます。
そして研修事後、飲み会を行う!
「C-SAT カスタマー・サティスファクション」
という考え方を披露してくれました。
このねらい以下の2つです。
①トップダウンからボトムアップ
②PDCAサイクルのシステム化
さらにホスピタリティケアの向上を目指します。
「ホスピタリティケア」= 「認知症ケア、看取りケア、食事サービス、個別ケア」
こうして、「自分の親に勧められる施設づくり」という目標を共有していきます。
コンセプトは「専門性とホスピタリティ溢れるケア」
そのために「CS(顧客満足度)+ES(スタッフ満足度)+7S(掃除など)+ホスピタリティケア」の統合を行なっていきます。
経営品質向上PJ
そして、時代ニーズに合わせて
経営品質向上PJを立ち上げ、4つの基本理念を掲げました。
それは
「顧客本位」+「独自能力」+「社員重視」+「社会との調和」です。
以上が、社会福祉法人あかねの取組みの全容ですが、
講演内容では広く浅く、ごく一部の紹介だったと思います。
経営環境が厳しくなった時代に適合させるための様々な取り組みが考えられ、議論され、そしてシステム化され、実行されています。
しかも、それは柔軟的に変化しています。
なぜならば、私が約5年前に学んだ時は「マイスター制度」がスタートした直後であり、まだまだ試行錯誤の真っ只中でした。
しかし、5年の歳月のプロセスにおいて、いくつかの新しいシステムが加わり、バージョンアップを繰り返しています。
創業期はトップダウン方式を取らざるおえません。
しかし、職員を教育し、その力量に合わせながら権限移譲を行なっていくこと。
これはたくさんの法人サポートの中で見てきましたが、最も難しいテーマとなっています。
しかし、現在のあかねはボトムアップへのシフトを宣言し、職員とともに新たな明日へ向かっているという印象を強く感じました。
「兵庫県から出ない」という法人方針も明確です。
自分たちの夢が、地域の夢と共有できること。
それは、地域居住=まちづくりの理想系に近づきます。
↑(ウチダシステムズ医療福祉施設営業部長の山本朗弘さんと講師の山本優賀さん)
↑(ウチダシステムズの後藤さんと黒澤さんと)
社会福祉法人あかねの概要は以下からご参照ください。
ウチダシステムズのホームページもご参照ください。