認知症ケアは個別ケアのスタートだった。家族にこそ知ってほしい認知症ケア
2021/03/12
老人ホームの選び方
ブラックボックスのような老人ホーム???
入居したい老人ホームを探すために知っておきたいこと
老人ホームの変遷
自宅ではない、もう一つの在宅
サブタイトル
1989年、国が高齢者福祉推進10ケ年戦略(ゴールドプラン)を発表しました。
それまで住宅メーカーでマンションの販売、販売企画をしていた私の人生が変わった年です。
老人ホーム、介護施設を作ると言うことではなく、高齢者が住みやすいマンションを作る
これがゴールドプランと同時に会社が掲げた方針でした。
しかし、選択肢は老人福祉法第29条に定められていた有料老人ホームの選択肢しか無かった時代です。
逆に言えば、「認知症」や「看取り」などは民間企業が担う分野ではないという判断が横行していました。
役員会でも「それは私たちの仕事ではない」と叱責されたものです。
どこに行けば老人ホームのことを学ぶことができるのか?
しかし、学びを深めれば深めるほど
認知症と看取りは生き続く上で避けて通れない課題であることに気が付き始めました。
葛藤は空回りをしながらも、深まっていきました。
今のように介護に関するセミナーなどほとんどありません。
自ら数少なかった専門家を探し出し、「教えて欲しい」とお願いをしていきました。
その時に出会ったのが、スウェーデン留学から帰国したばかりだった建築家の外山義(とやま・ただし)先生でした。
教えていただいたのが高齢期に適した住環境のあり方
一方では現実がありました。
実際に存在していた老人ホーム、その中心は多床室中心の特別養護老人ホーム
その中では俗に言われている「集団ケア」が提供されていました。
普通の価値観だったら「あんなところには入りたくない」と思います。
私も研修機会を求めて特別養護老人ホームへ研修をお願いしましたが多くの施設から門前払い
「金儲けの企業には教えることができない」
社会福祉と、はじまったばかりのシルバービジネスには大きな障壁があったのです。
もっと古き時代を辿れば「楢山節考」、「姥捨山」という悲しい事実があったことが分かってきます。
「老いたものは不要である」
人に「不要」な存在などあり得ません。
もちろん、高齢期には若い時には苦もなく出来たことが出来なくなること、喪失する機能があります。
しかし、成熟していく機能もあり、エイジング(加齢=老い)とは人の価値を高めていくものの方が多いと思います。
外山義先生が教えてくれたことは、これまでの「生活との落差」でした。
空間の落差
時間の落差
規則の落差
認知症ケアとともに見出し、実践がはじまった「個別ケア」への道
その頃から
「高齢期はこんなところで暮らしたい」
という言葉が書かれるようになってきたのです。