地域拠点型特別養護老人ホームを目指して
2025/02/09
【介護選び】地域拠点型介護という考え方
Well Aging Center【WellAgingHour】
地域拠点型介護の重要性と未来
今回のテーマは「地域拠点型介護」という考え方についてです。
介護を選ぶ際に、施設単体ではなく地域全体の視点で考えることが重要ではないか?
この視点を、おうちデイ新聞の田村武晴さんと一緒に考えてみました。
介護施設の役割と地域拠点としての可能性
私はかつて特別養護老人ホーム(特養)の施設長を務めていました。
特養には「従来型」と「ユニット型」がありますが、どちらが良いかという議論は、もう峠を越えたと感じています。それよりも、今後の介護施設は単なる「受け皿」ではなく、地域の拠点としての役割を担うべきではないかと考えています。
地域包括ケアシステムの考え方と重なる部分もありますが、単にサービスを地域に散らばせればよいわけではありません。地域には適切な拠点が必要であり、その拠点が情報のハブとなり、支援の中心となるべきなのです。
例えば、特養は地域における介護の拠点となるべきです。
しかし、それは必ずしも特養である必要はなく、デイサービスや訪問介護の事業所でも構いません。重要なのは、地域全体を見渡し、介護サービスを包括的に提供できる場所があることです。
介護の現場に求められる視点の変化
介護現場のスタッフは、目の前の利用者のケアに専念するため、制度の変化や補助金・助成金の情報を得る機会が少なくなりがちです。だからこそ、介護に関わる経営者や施設長が、全体を俯瞰し、情報を整理し、適切に発信することが求められます。
また、海外の事例を学ぶことも重要です。
例えば、デンマークやスウェーデンでは「地域での暮らしを支える介護」の考え方が根付いています。日本においても、今後は「施設に入る介護」から「地域で支え合う介護」へと移行することが求められるでしょう。
施設経営の視点から見る地域拠点型介護
特養や介護施設を経営する際、地域の中でどのような役割を果たすべきかを考えることは極めて重要です。私は東京都の特養で施設長を務めた際に、単なる介護施設ではなく、研修所や地域の学びの場としても機能させることを提案し、実現しました。
この施設では、介護職員の教育だけでなく、地域の住民が集まるスペースを設け、情報交換の場として活用していました。また、防災拠点としての役割も担い、地域の安心安全の確保にも貢献していました。
未来の介護を考える
これからの介護施設は、単に高齢者を受け入れる場所ではなく、地域に根差した支援拠点として進化していく必要があります。そのためには、以下のような視点が求められます。
地域全体を見渡す視点
介護施設単体で完結するのではなく、地域全体を巻き込んだケアを考える。
情報発信と共有
介護の現場は忙しく、最新情報をキャッチアップするのが難しいため、経営者や施設長が積極的に情報を発信し、共有する。
海外事例から学ぶ
先進国の取り組みを学び、日本の実情に合わせた形で導入する。
拠点としての機能を持つ
施設は単なる受け皿ではなく、地域の情報ハブや教育の場としても機能する。
介護業界は変化し続けています。だからこそ、地域を基盤とした新しい介護の形を模索し、実践していくことが重要です。
地域拠点型介護の発展に向けて、一緒に考えていきましょう。